
故人の尊厳つてなんだろう?
「尊厳を大切に」「尊厳を守ったご葬儀を」……。
葬儀社のチラシやホームページといった広告でも「尊厳」は、よく謳われている言葉の一つです。
故人を大切に扱ってくれるのだろうな、といった良いイメージが浮かんでくることも、多用される大きな要因だと思います。
ではあらためまして、「尊厳」とは、いったい何を意味する言葉なのでしょう?
辞書を引いてみると「尊くおごそかなこと。気高く犯しがたいこと。また、そのさま」とあります。
尊厳を守った葬儀についての明確な意味は、いつしかとても自然に私自身と会社とに、強く根付いていました。
それは、
「尊厳を守る」とは、
日本国憲法で守られている「基本的人権の尊重」と等しい。
憲法によって人権は守られていますが、亡くなってしまうと人は法律上、「物」として扱われます。
しかしながら、何度もお伝えしているようにご遺体は決して物として扱うべきではありません。
「基本的人権の尊重」と「尊厳を守る」ことは等しい。
そう考えれば、故人に対し生前と同様に接することが、その尊厳を守ることへ結びつくのではないでしょうか。
もう少し「基本的人権の尊重」について考えてみます。
これは、私の大学時代の恩師から教えて頂いたことですが、
基本的人権の尊重とは、
-いま、この場所にいることを認める、ということです。
言い換えれば「存在している」ということです。
決して否定されることがあってはいけません。
「あなたは、この場所に存在してはいけませんよ」と言ってしまえば、相手の基本的人権を尊重していないことになってしまいます。
それを踏まえた上で、「基本的人権を尊重」と、故人の「尊厳を守る」ことが等しいと考えるのです。
それは、
-故人の考えや、残されたご家族の考えを、否定も肯定もすることなく、等身大そのままに受け入れてあげること。
ではないでしょうか。
その際、葬儀社にとっての使命とは、故人やご家族の考えや想いを葬儀のカタチとして表すことです。
人が亡くなると、計り知れない悲しみや、寂しさの暗闇にすっぽりと入りこんでしまいます。
「この先、どう生きていけばいいのか……」とまで感じてしまうものです。
そのような感情に隠れてしまいがちですが、残されたご家族は、故人に対して「ありがとう」という想いを、必ず感じるものです。
その「ありがとう」の想い、そして故人の願いが、しっかりと葬儀に入っていれば、費用の過小ではなく小規模であっても、故人の尊厳を守った葬儀になるものです。
葬儀における想いは、値段には換算できません。
値段とはまったく関係のないものだからです。
どんな葬儀のカタチであれ、故人の尊厳を守った葬儀を行うことが大切です。
もし、いままでの葬儀に不満を覚えていたとしたら…
「このあたりの地域では、こういった葬儀をするのが、昔からのならわしです」
と、決まりごとに沿って、葬儀が行われる場合もあります。
また少し前までは、従来の形式の葬儀が主流で、いまのように多種多様な葬儀はありませんでした。
ただ、それまで行なわれてきた葬儀の形式が、そのまま自然な流れで引き継がれてきたのです。
現在では、心に残る家族葬(http://www.sougiya.biz/)などの安い葬儀も増えて、葬儀を行う状況も人それぞれ違ってきています。
参列される会葬者の人数も、減少傾向にあります。
葬儀のカタチは、どんどん変わりつつあるのに、「葬儀は、昔からこうするものだから」と、型にはめて考えておられる方もまだまだ多いようです。
時代に沿った柔軟な方向へ変化しなければ、対応できないことも多くなっています。
もちろん、昔からの葬儀の方法には、素晴らしい要素が数多くあります。
昔は葬儀社だけでなく、町内会や隣近所に住む方々で支えあって、葬儀の準備や運営を行っていました。
「おたがいさま」という気持ちを、いまよりも大切にしていた時代のように感じます。
現代では、マンション住まいなどで、隣にどんな人が住んでいるのかも分からない、町内会の付き合いはしない、といった人との付き合いが疎遠になっている方が増えています。
時代の流れとともに、葬儀の形式も変わりました。
いままで地域で協力して行われてきた、葬儀の準備や運営が全て葬儀社の役割へと変わりました。
葬儀社として行うべきことは、いま多岐にわたっているのです。
そういった流れのなかで、いつのまにか葬儀社主導で行なわれる葬儀が、多くなっていったのだと思います。
「6時からのお通夜ですから、4時までにご家族は会場へ来てください。お手伝いいただく方には、5時に会場入りしてもらってください。5時半にお坊さんに来ていただくようにしましょう。葬儀の始まる15分前には着席となります……」
といった葬儀進行について、
また、
「祭壇の大きさは、どの大きさにしますか? やはり、最期ですからある程度見栄えのある祭壇にしましょう。参列者はできるだけ多くの方に来ていただきたいですね。そのほうがきっと故人様も喜ばれます。そうですね、仕出しのお弁当もこのクラスのものが必要ですね」
といった葬儀の規模に関してまで、一方的にアドバイスをされる場合もあります。
「葬儀というのは、昔からこういうものなのですよ」
などと葬儀社から言われてしまうと、つい頷いてしまうものです。
ですが、葬儀社においても、特別な意図があってアドバイスしている訳ではありません。
これまでの慣習などで、無意識にこのような流れになってしまっているケースも多くあります。
葬儀の準備において、多少の不明点を感じたとしても、あなたが何も言わなければ、葬儀がそのまま進行してしまうことになります。
従来の葬儀に対して、もしそのような違和感を覚えているのにもかかわらず、不明な点を残したままに葬儀を行ったことがあるのだとしたら、少し立ち止まって考えてみる必要があるかもしれません。
いままでの葬儀のしきたりや決まりごとにおいて、なにかしらの根拠があれば、それに沿って進めたほうがよいこともあります。
ですが、もし根拠がないものであれば、葬儀社の都合に合わせる必要はないと思います。
あなたやあなたの家族の想いを込めた葬儀を希望する場合に、まずこれまでの葬儀におけるルールを取り入れる必要があるかどうかを、もう一度考えてみてはどうでしょう。
従来の葬儀には、「あって当然」「してあたりまえ」と思われていることが、あまりにも多過ぎるように感じます。
もしも、あなたが従来の葬儀に不満を持たれているのであれば、「こういうものだから仕方ない……」「やらなければいけない……」とは、思い込まないでほしいのです。
「○○しなければならない」といった先入観にとらわれることなく、あなたが必要だと感じるサービスかどうか、そこに重きを置いてください。
「葬儀社のための、葬儀社による葬儀」ではなくて、「あなたやあなたの家族のため、そして故人のための葬儀」をつくりあげましょう。